かつて女の子だった人たちへ

第7話




日暮れ時の新宿、芽里はトモカに指定されたカフェのテラスにやってきていた。
芽里は憔悴しきった顔をしている。トモカは静かな表情でホットコーヒーをすすっていた。冷たい夕暮れ時の風がふきつけるテラス席。長話をする気はないのだろう。
芽里は自分の買ったカフェオレとともに席についた。

「用事って?」
「レイキに家に帰れって伝えて」

トモカはあっさりと本題を切り出した。芽里が晒しにあっていることに対する気遣いや、お見舞いの言葉はない。

(なんとなくそうかと思っていたけど)

芽里はトモカを見つめた。

「私に落とし込みをしてたの、トモカちゃんだったんだね」
「人聞き悪いなぁ。私の知ってることを友達に教えただけ。拡散やメリーの会社に連絡したのはその子たちじゃない?」

トモカはテーブルに肘をつき、クスクス笑っている。

「痛い目見たでしょ。もうレイキはやめときな。メリーの住所も拡散されてるから、レイキがそこにいると危ないんだよね。ほら、家凸(※家に押しかけること)とかしてくるオタクもいるからさ」
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