かつて女の子だった人たちへ
顔をあげたレイキは巧妙に隠していた事実をさらされ、だらだら汗をかいていた。

「あのさ、事務所に最後通牒を突き付けられるくらいってよほどだと思うんだけど、それも女絡みじゃない? 調べればたぶんわかるから、素直に言えば?」

芽里の冷めた目に覚悟したのか、レイキがうなだれて答える。

「ファンの女子大生の子……親のカード使って、俺と会ってたみたいで。ホテル代とかの請求でバレて……親が事務所に怒鳴り込んできて……」
「はあ、すごい夜のバイトもあったもんだ。工場じゃなくて女子大生とホテルか。しかもホテル代も出してもらってた、と」

芽里は大きなため息をついた。トモカの話からそうだろうとは思っていたが、やはりレイキは夜にバイトなど行っていなかったのだ。芽里以外にも繋がりは何人もいたのだろう。

「どうするの?」
「別れます! というか、メリー以外みんな遊びだし。いや、もちろん遊びもやめます!」
「それで、私にどうしてほしいの?」
「明日の現場、絶対に来てほしい。チェキは10限……撮れるだけ撮ってほしいし、CDも俺のグッズもたくさん買ってほしい」

CDなんて1枚しか出していないし、それだって50枚ほど持っている。グッズもブラインドグッズを含めて相当購入してきた。それらをさらに大量購入し、チェキも100枚撮れというのだ。

「裏切っておいて、また一回のライブで何十万も出させようって言うんだ」
「ごめん! 本当にごめん! 他の女はみんな本気じゃなかった。メリーだけが俺の特別だから! お願い、助けて! 俺にもまだ熱烈なファンがいるって、メンバーや事務所にわからせたいんだ!」

レイキはもうなりふり構わない様子で懇願してくる。
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