かつて女の子だった人たちへ
「この前会ったときは、すっごく仲がよさそうに見えたけどなあ。その後、進展ないの?」
「ないない」
「うっそ、お似合いなんだから、自信もちなよ~」
ひと月前に敬士と出会って、二週間で関係を持ち、いまや同棲の話すら出ている。
弓はそのことを知る由もなく、令美にのろけ半分片想いの悩み半分の気持ちを打ち明けている。
(ホント、間抜け)
今日の弓は、グレーのジャケットとスカート、青のブラウス。同じ二十六歳には見えない。小学校のおばさん先生というイメージだ。髪もいつも通りの長めのボブでメイクはしているのかしていないのかわからない程度。目が小さくて細いのだから、もう少しアイメイクを頑張ればいいのに。爪にはしゃれっ気を出しているのか、薄ピンクのマニュキュアがついていた。丁寧に塗られてあるが、サロンでほどこしてもらったのではなくドラッグストアで勝った数百円のものを自分で塗ったのだろう。
「令美、私のことはいいよ~。令美は今、恋愛してないの?」
「うーん、今はいないかなあ。あ、弓、自分が恋してるから恋バナしたくて呼んだんでしょ~」
「違うよー、令美とお喋りしたかっただけだよー」
表面上の仲良し幼馴染ごっこ。学生時代からつかず離れずの距離にいた。弓はずっと無邪気に、令美に寄ってきた。令美を親友だとでも思っているのだろう。
「ないない」
「うっそ、お似合いなんだから、自信もちなよ~」
ひと月前に敬士と出会って、二週間で関係を持ち、いまや同棲の話すら出ている。
弓はそのことを知る由もなく、令美にのろけ半分片想いの悩み半分の気持ちを打ち明けている。
(ホント、間抜け)
今日の弓は、グレーのジャケットとスカート、青のブラウス。同じ二十六歳には見えない。小学校のおばさん先生というイメージだ。髪もいつも通りの長めのボブでメイクはしているのかしていないのかわからない程度。目が小さくて細いのだから、もう少しアイメイクを頑張ればいいのに。爪にはしゃれっ気を出しているのか、薄ピンクのマニュキュアがついていた。丁寧に塗られてあるが、サロンでほどこしてもらったのではなくドラッグストアで勝った数百円のものを自分で塗ったのだろう。
「令美、私のことはいいよ~。令美は今、恋愛してないの?」
「うーん、今はいないかなあ。あ、弓、自分が恋してるから恋バナしたくて呼んだんでしょ~」
「違うよー、令美とお喋りしたかっただけだよー」
表面上の仲良し幼馴染ごっこ。学生時代からつかず離れずの距離にいた。弓はずっと無邪気に、令美に寄ってきた。令美を親友だとでも思っているのだろう。