かつて女の子だった人たちへ
第3話
【敬士くんとのこと、本当にごめん。
弓と最後に会った後、敬士くんに告白されました。その時やっと私も本当の気持ちに気づいたの。
最初は仕事の相談にのってもらったりしていただけだった。
でもだんだん彼の優しいところに惹かれていきました。
弓の好きな人だから駄目だって、自分を自制していたけれど、告白されて抑えきれなくなってしまった。
弓、本当にごめんなさい。】
令美は送信し終えたメッセージを敬士に見せる。場所はラブホテルで、ふたりはすでに抱き合った後だった。
「俺から告白したことになってんじゃん」
「これでも敬士を気遣ってるんですけどー。敬士は弓の片想いに気づかずに、私を好きになったって設定ね。これからも職場で
顔を合わせる同期なんだし、角が立たないほうがいいでしょ?」
令美は裸のままベッドにごろりと転がり、自分の打ったメッセージを見返した。既読はまだつかないが、もうどうでもよかった。
「弓は優しいの。それはそれは、ね」
「だから、許してくれる?」
「そう」
今までもそうだった。時間が経てば、また幼馴染として接してくるのだ。たとえ、令美が敬士との結婚式に招待しても、のこのこやってくるだろう。
令美はひとまず目標を達した。弓に不相応なものは取り上げてやったし、有望な夫候補を手に入れることができたのだから。