かつて女の子だった人たちへ
敬士がFX取引をしているというのは不安要素ではあったが、それでも令美はどうにか止めなければという切迫感は覚えなかった。何も知らないでひとりでやっているわけではない。彼の言うところの信頼のおける先輩を頼っているのだ。さらには、うまくいって敬士の資産が増えれば、ふたりの生活にはうるおいが出るだろう。
引っ越しで双方金欠気味だけれど、余裕ができれば敬士は令美に借りている金を払うだろうし、旅行や外食にだってお金をかけられるようになる。それなら、FX様様である。
(問題はこっち)
オフィスでの昼休み、令美はスマホを取り出した。
アプリには位置情報が表示されている。敬士のものだ。
スマホの付属品で購入した忘れ物防止タグを、敬士の鞄に入れてある。ポケットの内側を切ってクッション付きで仕込み、縫い付けた。音が出ない設定にしてあるし、こちらがアプリで探す分には向こうには気づかれない。よほど念入りに疑って探すか、敬士のスマホなら専用のアプリを入れない限りは気づかれないだろう。
敬士の行動には注意を払っておいた方がいい。
それは当初から令美の頭にあった。恋愛において、簡単に誘惑にのってくる敬士である。令美を好きだと言っていても、機会があれば浮気に走るだろう。そして、敬士のスペックに引き寄せられる女は無数にいるはずだ。
引っ越しで双方金欠気味だけれど、余裕ができれば敬士は令美に借りている金を払うだろうし、旅行や外食にだってお金をかけられるようになる。それなら、FX様様である。
(問題はこっち)
オフィスでの昼休み、令美はスマホを取り出した。
アプリには位置情報が表示されている。敬士のものだ。
スマホの付属品で購入した忘れ物防止タグを、敬士の鞄に入れてある。ポケットの内側を切ってクッション付きで仕込み、縫い付けた。音が出ない設定にしてあるし、こちらがアプリで探す分には向こうには気づかれない。よほど念入りに疑って探すか、敬士のスマホなら専用のアプリを入れない限りは気づかれないだろう。
敬士の行動には注意を払っておいた方がいい。
それは当初から令美の頭にあった。恋愛において、簡単に誘惑にのってくる敬士である。令美を好きだと言っていても、機会があれば浮気に走るだろう。そして、敬士のスペックに引き寄せられる女は無数にいるはずだ。