かつて女の子だった人たちへ
苛々とした気分のまま帰宅すると、敬士もちょうど帰宅してきた。
「レミただいま~! 見て見て」
スマホの画面には以前見せてくれたアプリが表示されている。チャートと呼ばれる細かい折れ線グラフが目に飛び込んでくるが、相変わらずよくわからない。
「ここ、今日の稼ぎ。すごくない?」
「え、すごい!」
表示されているのは三百四十万という金額。令美はさすがに驚いた。FXとはこんなに儲かるものなのか。敬士は得意げに言う。
「先輩の指導のおかげなんだけどさ。めっちゃ稼げるだろ? 担保金はちょっと高いけど、その分手厚く見てくれるし、リターンもでかい」
「すごい、すごい!」
「ボーナスを待たなくても、レミをマカオあたりに連れていけるかもしれないぞ」
「敬士最高! 格好いい!」
令美は敬士に飛びついて喜んだ。やはりこの男は当たりだ。器用な生き方は、こういった面でも才能を発揮するのだろう。
「無駄な心配しちゃったね。敬士、仕事でもFXでも稼げるなんてすごいよぉ。ついでなんだけど、来月分の家賃と光熱費、もらっておいていいかな」
お金の話のついでだ。儲かっているなら機嫌よく聞いてくれるだろう。
すると敬士は顔をしかめ、困ったように笑った。
「レミただいま~! 見て見て」
スマホの画面には以前見せてくれたアプリが表示されている。チャートと呼ばれる細かい折れ線グラフが目に飛び込んでくるが、相変わらずよくわからない。
「ここ、今日の稼ぎ。すごくない?」
「え、すごい!」
表示されているのは三百四十万という金額。令美はさすがに驚いた。FXとはこんなに儲かるものなのか。敬士は得意げに言う。
「先輩の指導のおかげなんだけどさ。めっちゃ稼げるだろ? 担保金はちょっと高いけど、その分手厚く見てくれるし、リターンもでかい」
「すごい、すごい!」
「ボーナスを待たなくても、レミをマカオあたりに連れていけるかもしれないぞ」
「敬士最高! 格好いい!」
令美は敬士に飛びついて喜んだ。やはりこの男は当たりだ。器用な生き方は、こういった面でも才能を発揮するのだろう。
「無駄な心配しちゃったね。敬士、仕事でもFXでも稼げるなんてすごいよぉ。ついでなんだけど、来月分の家賃と光熱費、もらっておいていいかな」
お金の話のついでだ。儲かっているなら機嫌よく聞いてくれるだろう。
すると敬士は顔をしかめ、困ったように笑った。