かつて女の子だった人たちへ
「レミ~、この金はすぐに俺の手元には来ないんだよ。ほら、うちの先輩を通してやってるヤツじゃん?」
「あ……そうなの?」
「あとさ、儲けた額の数パーセントをコーチ代、仲介料として先輩に払いたいんだよね。これは、向こうから要求されたわけじゃなくて、俺の気持ちなんだけど。FX自体に手数料はかからないし、そんなに稼いだ分が減るってことはないからさ」

格好をつけているが、絶対に向こうに支払いをする約束だったに違いない。そうでなければ、素人の敬士がこれほど稼げるはずもない。

「そんなわけで、今の俺の口座にはあんまり金がなくてさ。もちろん、レミとの結婚資金は別の口座に貯めてあるよ? でも、そっちには手をつけたくないんだよな」

だから次月の家賃を払えないというのだろうか。おかしな話であるが、令美は笑顔を作った。

「じゃあ、来月分は私が払っておく。あくまで貸しだからね。その三百万くらいが入ったら返してね」

三百四十万という数字は、画面の中でもそれなりに期待を感じる金額だった。半分くらい仲介料で取られたとしても、コンスタントに敬士が稼ぎ続けてくれればあっという間に資産は増えるはず。

「もちろんだよ! あ~、レミって理解のあるいい女! 俺、レミみたいな美人で頭がよくて物分かりのいい女と付き合えて幸せ~!」

敬士がぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。キスをされ、高揚のまま行為に及ぼうとする敬士を押しとどめ、令美はささやいた。

「ベッドいこ」

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