かつて女の子だった人たちへ
まず飛び込んできたのは相手から送られた写真の画像だった。ベッドで眠っている敬士だ。肩が素肌なので、服を脱いでいるのがわかる。当然ながらこのベッドではない。

【寝てるとこ撮っちゃった】
【かわよ】

敬士が返信している。

【こういうのやめて~はずかし】
【でも起こしてくれてありがと。終電逃すところだった】

どくんどくんと心臓が脈打ち始める。間違いない。敬士は女と浮気している。この“みぃ”という相手がそうだ。
取り急ぎ音が鳴らないように画面を自分のスマホで撮影する。メッセージをさかのぼっていく。

【おはよ】
【たかくん、今夜会えるね】
【十九時にいつものホテル】
【たかくんとお泊りしたいよ】
【いっぱいエッチしようね】

そんなあられもないメッセージが残っている。敬士のメッセージも不快極まりない。

【みぃの肌、白くて柔らかくて気持ちよかった】
【胸大きいの最高】
【みぃのこと考えて、風呂場でひとりでしたよ】

メッセージのやりとりは頻回で、かなりスクロールをし続け最初のメッセージに到達した。日付は二月三日。令美と同棲をスタートして一週間と経っていない。
どうやらマッチングアプリで知り合い、この日初めて会ったようだ。それから三ヶ月以上関係を続けている。
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