かつて女の子だった人たちへ
すると、床に日が差し込んでいるのが見えた。資料庫の横には窓があったが、この時間は日が入るようだ。トイレの横だが、あの窓辺で立って食べよう。少しは気晴らしになるかもしれない。
しかし、角を曲がってそこに先客がいるのを見つけた。
内勤の制服を着て、髪をひとつ結びにした地味なメガネの女子社員だ。
彼女は窓枠に自作と思しき弁当を置き、スマホのカメラで撮影している。角度を変え、光の加減を調整しては撮りなおしている。
「加工アプリ、使えばいいじゃない」
令美は無遠慮に話しかけた。彼女が弾かれたようにこちらを振り返り、はずみでスマホを床に落とした。
「あーっ!」
慌てて拾い上げ、画面が割れていないのを確認してほうっとため息。しかし、令美を見て狼狽の表情になる。
「あの、え、あ」
「加工アプリ、知らないの? 料理の発色をよくできるヤツ」
「そういうのは……使わない主義でして……」
歩み寄って覗き込むと、その弁当はとても綺麗で美味しそうだった。黄色い玉子焼き、手作りだろうミートボール、小松菜のおひたしにおかかがのっていて、小さな俵型のおにぎりは具が混ぜ込んであるようだ。記憶にある弓のお弁当を思い出した。遠足でひっくり返してしまったものだ。
しかし、角を曲がってそこに先客がいるのを見つけた。
内勤の制服を着て、髪をひとつ結びにした地味なメガネの女子社員だ。
彼女は窓枠に自作と思しき弁当を置き、スマホのカメラで撮影している。角度を変え、光の加減を調整しては撮りなおしている。
「加工アプリ、使えばいいじゃない」
令美は無遠慮に話しかけた。彼女が弾かれたようにこちらを振り返り、はずみでスマホを床に落とした。
「あーっ!」
慌てて拾い上げ、画面が割れていないのを確認してほうっとため息。しかし、令美を見て狼狽の表情になる。
「あの、え、あ」
「加工アプリ、知らないの? 料理の発色をよくできるヤツ」
「そういうのは……使わない主義でして……」
歩み寄って覗き込むと、その弁当はとても綺麗で美味しそうだった。黄色い玉子焼き、手作りだろうミートボール、小松菜のおひたしにおかかがのっていて、小さな俵型のおにぎりは具が混ぜ込んであるようだ。記憶にある弓のお弁当を思い出した。遠足でひっくり返してしまったものだ。