かつて女の子だった人たちへ
「あの」
凍り付いて言葉をなくした令美に、女子社員がおずおずと話しかけてくる。
「いきなり、べらべらしゃべっちゃってすみません。えーと、玉子焼き、食べませんか? 箸、まだ使ってませんので!」
彼女はそう言って玉子焼きを弁当箱から摘まみ上げる。令美は数瞬迷い、それから無造作に指で受け取り、口に放り込んだ。
「あっま……」
玉子焼きは柔らかくしっとりと甘い。優しい味がする。
「あ、玉子焼きはしょっぱい派ですか? 出し巻き派とか」
「私の方が美味しく作れるわよ、これ」
「え~!?」
令美の嫌味に、女子社員が困ったように笑った。
(了)
凍り付いて言葉をなくした令美に、女子社員がおずおずと話しかけてくる。
「いきなり、べらべらしゃべっちゃってすみません。えーと、玉子焼き、食べませんか? 箸、まだ使ってませんので!」
彼女はそう言って玉子焼きを弁当箱から摘まみ上げる。令美は数瞬迷い、それから無造作に指で受け取り、口に放り込んだ。
「あっま……」
玉子焼きは柔らかくしっとりと甘い。優しい味がする。
「あ、玉子焼きはしょっぱい派ですか? 出し巻き派とか」
「私の方が美味しく作れるわよ、これ」
「え~!?」
令美の嫌味に、女子社員が困ったように笑った。
(了)