かつて女の子だった人たちへ
「ああ、もう少しでレイキに会える」
思わずつぶやいてしまう。なにしろ、コンカフェ卒業からひと月以上会っていない。久しぶりに会えるのがレイキの晴れ姿だなんて、心臓はもつだろうか。
開演ベルが鳴り、ステージが暗くなる。皆、手にキンブレを用意し待ちわびる中、派手なサウンドとともに五色のライトがステージに降り注ぐ。交差し点滅し、ピコピコしたEDMの前奏とともに客席のボルテージもあがる。上手から五人のメンバーが走り出てきた。
悲鳴のような歓声に包まれるステージ。芽里も叫んだ。レイキがいる。すぐそこにいる。
レイキは白に緑のラインの入った衣装を来ている。ザ・アイドルといった雰囲気の王子様風衣装だが、レイキの勤めていた『メルティ』はファンタジー系のコンカフェだったため、違和感はなかった。むしろ、よく似合っていた。
「レイキー!」
気づけば声の限り叫んでいた。涙がにじんでいた。
ノリのいいEDMサウンドのオープニング曲。MCでメンバー紹介、そこからロック風の曲と電波系の曲を一曲ずつの三曲でライブは終わった。
三曲目はメンバーへのコールも入るそうで、「動画サイトにあげるから、チェックしてね」とセンターメンバーのジュリンが言っていた。
それでライブは全部だった。
「もう終わり?」
メンバーが引っ込むと拍手と歓声の隙間から唯がこそっと尋ねてきたくらいだ。
頷きつつ、芽里も思っていた。
(短い……。こんなに短いんだ)
賞味三十分やっていないのではないだろうか。ダンスと歌は『ミルkey』のオリジナルだそうだが、正直に言えばレベルは高校の体育祭のクラスダンスといった感じだった。
思わずつぶやいてしまう。なにしろ、コンカフェ卒業からひと月以上会っていない。久しぶりに会えるのがレイキの晴れ姿だなんて、心臓はもつだろうか。
開演ベルが鳴り、ステージが暗くなる。皆、手にキンブレを用意し待ちわびる中、派手なサウンドとともに五色のライトがステージに降り注ぐ。交差し点滅し、ピコピコしたEDMの前奏とともに客席のボルテージもあがる。上手から五人のメンバーが走り出てきた。
悲鳴のような歓声に包まれるステージ。芽里も叫んだ。レイキがいる。すぐそこにいる。
レイキは白に緑のラインの入った衣装を来ている。ザ・アイドルといった雰囲気の王子様風衣装だが、レイキの勤めていた『メルティ』はファンタジー系のコンカフェだったため、違和感はなかった。むしろ、よく似合っていた。
「レイキー!」
気づけば声の限り叫んでいた。涙がにじんでいた。
ノリのいいEDMサウンドのオープニング曲。MCでメンバー紹介、そこからロック風の曲と電波系の曲を一曲ずつの三曲でライブは終わった。
三曲目はメンバーへのコールも入るそうで、「動画サイトにあげるから、チェックしてね」とセンターメンバーのジュリンが言っていた。
それでライブは全部だった。
「もう終わり?」
メンバーが引っ込むと拍手と歓声の隙間から唯がこそっと尋ねてきたくらいだ。
頷きつつ、芽里も思っていた。
(短い……。こんなに短いんだ)
賞味三十分やっていないのではないだろうか。ダンスと歌は『ミルkey』のオリジナルだそうだが、正直に言えばレベルは高校の体育祭のクラスダンスといった感じだった。