利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
「俺も貴族の一員だ、最初から想いが伴わない結婚があることも理解している」

 ふぅ、と大きく息を吐きながらそう言ったロベルトは、キッと眉をひそめ私をジロリと睨む。

「ならば政略結婚らしく互いに尊重し側にいることが当たり前だと思えるよう愛を育むぞ!」
「政略結婚ってお互い干渉しないよう最低限の礼儀を持って過ごす結婚じゃないの!?」
「これがフラスキーニ家の政略結婚だ。今巷で流行っている!」
「巷ってどこなの!? なんか私の知ってる政略結婚じゃないんだけど!」

 捲し立てるようにそう言われ愕然とした私だったが、そういう政略結婚があってもおかしくないのは確か。

“噂の想い人との子供を跡継ぎにするのかと思っていたけど”

 ロベルトの言葉を信じ恋人がいないのであれば、結婚した以上跡継ぎを産むのは必然的に私だということになる訳で。

「わかったわ」

 大きく頷いた私は、そのままバタンとベッドに仰向けに転がり大の字になる。
 そして突然寝転がった私に唖然としたロベルトへ向かって私は右手を握りグッと親指を立てた。

 
「痛くないように突っ込んでね!」
「………………」
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