利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
「地面もロベルトの足も固くて寝心地はあんまりよくないわ」
「二度も言わなくていい」
「……昔は柔らかかったのに、って思ったの」

 フン、と顔を背けつつも私を地面に下ろそうとしないロベルトにそう告げると、ピクリと小さく彼の肩が跳ねたことに気付く。

「小さい頃もこうやってロベルトの膝枕で寝たわね」
「そうだな」

 木陰で読書する幼い頃のロベルトの膝に大量に涎を垂らしたという残念な思い出ではあるが、その時も彼はじっと私に膝を貸してくれていて。

「あの時はずっと本を読んでたわよね」
「いや、読んでなかった」
「?」

 私の記憶では完全に読書していたロベルトの姿しかないのだが、ううんとロベルトが首を振る。
 
「本の内容は頭に入らなかったからな。読書していたとは言えない」
「え」
「俺の膝で安心して眠るリネアが可愛くて、こっそり眺めてたんだ」
「!」

“涎を垂らした間抜け面だったはずだけど!?”

 ロベルトの言葉を聞き、カァッと一気に顔が熱くなる。
 言ったロベルトの耳も赤く染まっているので、二人して赤く茹る私たちははたから見たらどのように見えているのだろうか。

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