利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
「そうよ、初夜よ!!」
「ちょ、リネ…………ぐえっ」

 一瞬脱線しかけた話を力業で戻した私は、次に物理的な意味の力業でロベルトをベッドまで引っ張り体当たりする格好で押し倒した。

 ちょっとうっかりあれまあれま私の肘がロベルトの鳩尾へとクリーンヒットしたが、今気にすべきはそこではない。


「さぁ、これで私たちは元通りになれるわよ……!」

“そしてあわよくばお出かけは二週間……いや、せめて一週間に一度だけで……!”

 妻としての役割も果たせるし、ロベルトとの関係も名実共に良好という構築も出来るはず、なんて思った――の、だが。


「……いや、初夜は……げぼっ、し、しない」
「お拗ねになられていらっしゃる!?」

 余程私の肘が痛かったのか少し涙目になっているロベルトの、その一言に唖然とする。
 
「どうして? 確かにすっぽかしたのは悪かったけど……」
「それはまぁ、傷付いたんだが。けどそうじゃなくて」

 まるで諭すかのように、そっと私の両肩に手を置いたロベルトは、その深緑の瞳でじっと見上げて。
 
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