利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
 何故なら美形一家のハズレとして散々ナカッタコトにされてきたのだから。

“折れなかったのならまだやり直せるわ! 初夜も、この口付けも!”

 キッと決意を込めて睨みをきかせた私は、再びロベルトの顔面へ向かって顔を突き出し――

「り、リネア!」
「んんんっ」

 むぎゅ、とロベルトに手のひらで口付け攻撃を防がれた。

「んんんんんんっ」
「なにするのよ、じゃない。それはこっちのセリフだ!」
「んんんんんんんんんん、んっんんんんん」
「最後はヤるんだから一緒でしょ、じゃない。俺はちゃんとリネアと両想いになりたいんだ!」
「んん~っ!」
「もぉ~、じゃない」

 手で塞がれた口で一生懸命文句を言う私の言葉を何故か一言一句正しく理解したロベルトが、はぁ、と大きなため息を吐く。

“ため息を吐きたいの、こっちなんだけど!”

 本当にあの日すっぽかしさえしなければ、関係の構築を最速でと予定を詰め込まれることもなく、むしろ私の生態を理解してベッドを多めに用意してくれていたロベルトならば、もしかしたら普通の夫婦としてのんびりぐうたら穏やかに惰眠を貪るような時間を過ごしていたのかもしれないのに。
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