利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
「お、お飾り……ですか」

 私の発言に唖然とした顔をするクラーラ。
 そんなクラーラの方へ視線を戻し、肯定するように大きく頷く。


「“私”を知っているのに申込んで来るのよ? ロベルトにも何かしらあるのよ」
「何かしら……?」

 私の言葉を聞いたクラーラは一瞬考え込む素振りをし、そしてすぐにハッとした顔になった。

「そういえば聞いたことがあります、ロベルト様には長年慕われている方がいらっしゃるとか」
「いいわねいいわね、お飾り感があるじゃないっ」
「い、いいんですか? それ」
「いいのよ! 私の望みは私を見てガッカリしない相手との結婚、しかもお飾りの妻なら何もしなくていいじゃない!」


 そういうのを待っていたのよ! とウキウキしながら、机に散らばったロベルト以外の婚約申込みの手紙を集めて全て近くの暖炉に放り込む。

「あ、あぁ、あぁあ……っ!」
「嘆く必要はないわ、クラーラ。断言する、今捨てた手紙の送り主全てが会ったらお断りの連絡を入れてくる人たちよ。今まで私が何度そのパターンを体験したと思っているの」
「それはまぁ、その通りですね」
「肯定かい」
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