14年目のクリスマス

一筋の流れ星

***

「パパ、食器洗い終わったよ」

キッチンから帰ってきたサキは、冷えた手をストーブにかざした。


「ありがとう。
疲れただろう?
ゆっくり休みなさい」


サキは微笑んで、ロッキングチェアーに腰をおろした。


「ねぇ、パパ?」

「ん?」


「私、この家好きよ。
周りに遊ぶものはないけど、なんだかとっても優しい感じがするの」


サキはロッキングチェアーを揺らしながら言った。


「ああ。パパもここは大好きだよ。
ここには沢山いい思い出が詰まってるんだ。
だから優しい感じがするんじゃないかな」


サキは可笑しそうに笑った。

「ふふふ。
今日のパパ、本当にいい顔してるわよ。
パパが、パパじゃないみたい。
1人の男の人の顔してる」


最近、大人びてきたサキの発言には、時折ドキリとさせられる。


ついこの間まで
「パパがいないと寂しくて嫌!」
なんて言って、スーツの裾を引っ張って泣いていたのに…。

子供の成長は、親が思うよりずっと、早いものらしい。


この調子じゃ
「パパに会って欲しい人がいるの」
なんて言い出すまでに、そんなに時間はかからないのかもな…。


少し、暗い気分になる。






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