14年目のクリスマス
「あ!パパ!
雪が止んだみたいよ!」
窓辺に移動したサキが、窓ガラスに張り付いて言った。
さっきまでサンサンと降っていたのに…。
驚いて、サキの後を追う。
サキの言う通り、嘘のように雪が止んでいた。
「わ!空もすごい晴れてる!」
興奮したサキがテラスに出た。
空気が入れ代わり、室内に篭っていた熱が一気に冷める。
「パパもこっちに来て!
星も出てるよ!」
星!?
山の天気は変わりやすいというが、こんなに急に天候が変化するものなのだろうか…。
サキの言葉に従い、自分もテラスに出てみる。
先ほどまで降らせていた雪雲はどこに行ったのか
跡形もなく消えており、
無数の星々が空に輝いている。
「信じられない…」
これが山の天候なのか
それともクリスマスの
奇跡か…
あるいは………
「わ!パパ見た!?
今、流れ星が見えたよ!」
思わず笑みが漏れる。
君は昔から人を驚かせるのが好きだったからな…。
君が仕掛けたサプライズに、僕はいつも驚かされていたっけ。
『フフフ、ビックリした?』
子供みたいに無邪気に笑う君の顔が好きだった。
きっとこれも君が仕掛けたサプライズなんだろう?
君からのクリスマスプレゼント─…。