14年目のクリスマス
「ね、パパ!
来年も、再来年もずーっと、ずーっと毎年クリスマスは此処に来ましょう?」
テラスの柵に手をかけて、サキが笑った。
「…ああ、そうだね。
毎年ここに来よう」
僕は【破られるだろう約束】をした。
きっと、この子は近い未来こう言い出だすことだろう。
「クリスマスを一緒に過ごしたい人が出来たの」
そして、僕はこう言う。
「素敵なクリスマスを楽しみなさい」と…。
………
でも、僕はここに来るよ。
1人でも、これからはずっと。
毎年、毎年…
クリスマスに、僕はこの家にやって来て、
お揃いのグラスでシャンパンを飲み、
またこうして空を眺めるだろう。
この命が尽きるまで。
ずっと…永遠に……。
だって、ここには君がいるから──。
【メリークリスマス】
僕は瞬く星にむかって語りかける。
また一筋の流れ星。
空に輝く星が
そっと微笑んだ─…。
【fin】