14年目のクリスマス
夏は避暑地として有名なこの街は、別荘地としてもよく知られている。
だが、山中の脇道を入った森の奥深く…。
繁華街から遠く離れたこの家の周りは、店はおろか、他の別荘すら見当たらない。
木に囲まれているだけだ。
以前は、季節と問わず、気が向いた時にフラリと立ち寄っていたこの家。
だが、いつからか数年間の間は、この日に来ることが年中行事になっていた。
自分の要望ではない。
『毎年、クリスマスはココに来ましょう?
賑やかに過ごすクリスマスも楽しいけど、森の中で静かに過ごすクリスマスって素敵!』
他の誰からでもない、君の要望で──…