14年目のクリスマス
***

壁にかけられた振り子時計の低い音が、家の中に響き渡った。


この時計は、一時間ごとに音を鳴らす。
どうやら一時間も読書に没頭していたらしい。

小さく伸びをし、本を閉じてテーブルの上に置く。


飲みさしのまま放置されていたコーヒーを一気に飲み干して、立ち上がった。


窓辺に移動し、曇ったガラスを拭きとって外の様子を確認する。


綿菓子のような雪が、次から次へと空から舞い散ちてくる。

大粒で力強い降り方からして、暫く止むことはないだろう…。


「ホワイトクリスマスか」


枝に雪が積もり、白く染まった木々が街灯に照らされて、キラキラと輝いている。

まるで、すべての木がクリスマスツリーになったようだ。






「パパ…出来たよ…」


サキの声に、振り向く。

先程とは打って変わって、覇気のない沈んだ声。

表情も暗く、落ち込んでいることは一目瞭然だった。


「どうした?
まさか火傷でもした?」


「ううん。実はね…コレ…」


サキはテーブルの上を指差した。






< 8 / 18 >

この作品をシェア

pagetop