14年目のクリスマス
サキが指さした方向には、見事に丸焦げになったローストチキンがあった。
「ごめんなさい…。
よりにもよって、メインディッシュを失敗しちゃった」
シュンと、うな垂れて落ち込むサキ。
その様子があまりにも可愛らしい。
込み上げてくる笑みを、咳払いで誤魔化した。
「大丈夫。焦げたところを取れば食べられるよ。
ありがとな。久しぶりにゆっくり本を読むことが出来たよ。
サキのお蔭でね」
「本当?」
サキはパッと顔をあげ、目に少し輝きを取り戻した。
「ああ、本当だ。
サキのお蔭で、ずっと気になっていた犯人の正体が分かってスッキリしたよ。
さあ、ご飯にしよう。
運ぶのを手伝うよ」
「うん!他のはね、上手に出来たと思うの!
やっぱり田中さんのお料理は最高ね!
レシピ通りに作ったら、すごく美味しかったもの!」
サキの頭をコツッと軽く叩いた。
「さてはツマミ食いしたな」
「す、少しだけよ!
味見よ、味見!」
「はいはい。サキは食いしん坊だからな」
サキの頭を、ポンポンと叩くと、悔しそうな顔をしたサキがイーッと歯を見せた。