不滅のユースティティア。
見たことがない魔力同士の抗争を前にしたルス先輩の呆気にとられ、絶望に満ちた顔。
この人は。
この、ひとは………、
「……れおんはる…と…?」
私が無意識にもつぶやくと、振り返った端正な顔立ちは目を一瞬だけ開いて。
ふわりと目尻が下がったのも、一瞬。
Sクラスの教室に行くまでの長い廊下。
ひとつだけ、通るたびに必ず足を止めてしまう生意気な絵画がある。
そこにある似顔絵と同じ髪の色、ピアス。
どこか面影を映し出した顔のパーツ。
泣きたくなるんだ。
この人を見ると、私はどうしてか、泣きたくなる。
「────ただいま」
こみ上げてくる気持ちを「おかえり」と一括りにしていいならば、そうしていた。
聞きたいことはたくさんあったし、彼が何を意味して、なんの意味を持ってそう言ったのかは分からない。
としても、ただただ、手を伸ばしたくなった。
引き上げた唇のまま再び背中を向けた男は、大きな太陽を前に、言う。