不滅のユースティティア。
「…アネモス、お前は優しいね」
物陰に立っていた、ひとりの男子生徒。
見慣れない顔立ちはなんとも中性的で、一瞬女の子かと思った。
だれかと話しているみたいだったから他にも同行者がいるのかと、じっと見つめてみてもやっぱりそこにいるのは1人だけ。
「あ、アネモスくんっていうの…?たぶんあなたが助けてくれたんだよね…?あっ、ありがとう!」
「……アネモスは俺じゃない」
「えっ、でも、」
「俺の魔法」
物陰から姿を現したブルーアッシュの髪にエメラルドグリーンの瞳は、ここにも私と正反対があった。
ブルーアッシュがさらりと動いたかと思えば、それは彼自身が動いたからでなく、さきほどの取り巻く風が揺らしたもの。
───あ…、肌、撫でられた……気がする。
私の周りにも心地いい風がなびいて、ふわっと優しく頬をなぜた。