不滅のユースティティア。
「───江架」
そうして、再び私の目線に高さを合わせてきた相棒。
「僕の目を見て」
「……いやだ」
「いいから僕を見ろ」
「っ、」
魔法は使われていない。
使われていないはずが、私の視線はスッと上がる。
伸びてくる手に、眼鏡が外された。
壁もなくガラス越しではないまっさらな視界だというのに、歪んだルス先輩が映し出される。
「怖いよ、僕」
「…え…?」
「不安だってある。江架がどうなるかも想像できない。あの日……僕は君ひとり守ることさえできなかった」
理事長室で。
腕から血を吹き出させてまでもシールドを張ってくれた彼。
とてつもない魔力を前に絶望を味わっていた。
あのときのルス先輩の顔はきっと、私がこれから自分の魔力と向き合うたびに思い出すんだろう。
「僕は今まで、魔法を憎みながら使ってきた。その結果が……大切な存在さえ守れなかったんだ。
憎しみの上に成り立つ魔法は、悲しみしか生まない。僕自身がそれをいちばん分かってるはずなのにね」