不滅のユースティティア。




「大丈夫だ。…そうなった場合も、俺はすべて予測して動いてる」



S級魔法士にしか、できないこと。
S級魔法士だから、できること。

月の下、私の目には彼が泣いているように見えた。



「っ、師匠…!!」



早く寝ろよと、向けられた背中を引き留める。



「…師匠にとっての…正義って、なに…?」



おにいちゃん、
行かないで、おにいちゃん───。


私は何度か、こんな気持ちを抱くときがある。

そして抱く先はいつだって、あなたに対してなんだ。




「俺の正義は、たとえ魔力だけでなく
身体が滅びようと───…お前を守ることだ」




この日、すごくいい夢を見た。


赤いレンガ調の、煙突があるお家で。
お母さんと、お父さんと、あなたがいて。


私が一生懸命向かおうとしているところを待ってくれてるの。


ピンクブラウン髪の少年は我慢ならずに手を伸ばそうとしてくるけれど、それをお父さんが押さえこむ。

わちゃわちゃ言い合いになって、そんなふたりを見て穏やかに笑ってるお母さん。


みんなが「江架」って、私を見て、私の名前を呼んでくれる夢───。



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