不滅のユースティティア。
太陽を司った神の末裔でもある八神家の子孫は、現時点で夜巳さんと江架だけ。
彼女たちが存在する限り、あの魔法が消えることはない。
もし、そんなふたりの命を今後も奪おうとしてくる奴らが現れたなら、そのときは僕の魔法を持ってまでも立ちはだかる。
そこで生まれるものは結局、血と涙、そして憎しみじゃないのか。
「ルス、お前の正義はなんだ」
「…僕の正義?」
浅くうなずいたローサ。
大きな迷いと不安が、彼女の瞳にも見えた。
「僕の正義は───…」
神の末裔とか、伝説魔法とか。
僕にとってはそこまで重要なことじゃない。
知ったところで気持ちは変わらないし、もっと愛しいと思うくらいだ。
「江架の笑顔を、ずっと隣で見つづけること」
月が出ていない珍しい夜だった。
そこまで必死になってまで、雲はなにを隠そうているのか。
彼は僕たちに、なにを隠したがっているんだろう。
ドアの外、そこは隠さないのかと、ひとりの気配に気づかないふりをした───。