不滅のユースティティア。
「…せめてここだけでも再現したつもりだったんだが、さすがにな」
「さいげん?」
「この家は赤ん坊だったお前が俺たち───…、お前の両親と暮らしていた家だ」
「…え…」
赤いレンガ調に煙突、そこまで大きいわけじゃない可愛いお家。
初めて見たとき、師匠のイメージにはそぐわない違和感があった。
「シド兄ちゃんとセーカ姉ちゃんは、間違いなくお前の親だよ」
でも、そんな意味があっただなんて。
この人はどこまでも私のことを考えてくれている。
「っ、」
「……どうした」
「いつも、ありがとう……っ」
ぎゅうっと、抱きついた。
わからないけど無性に抱きつきたくなったの。
お父さんとお母さんのことは思い出せなくとも、心があたたかい。
ここに家族で暮らしていたんだと。
写真に写った両親と私は、確かに暮らしていたんだと。
家族をしていた紛れもない時間は、あったんだと。
私が忘れていてもこの人が教えてくれる。
この人が、ぜんぶ知っている。