不滅のユースティティア。
「とくにこの部屋は他より強い結界を張ってあるから、おもう存分魔力を出してもらって大丈夫」
………まだ魔力、出せませんが。
「じゃあ、さっそくやろうか」
「はい!」
「……なーにしてんのかな、江架」
「え?なにって…」
いそいそと荷物から取り出した、愛読している魔法書。
これが教科書みたいなものだ。
今まで何百回と同じところを繰り返し読んだことか。
「あー、だからちょっと重かったんだ」
「わっ!えっ、なんで…!」
この人にまでひょいっと奪われちゃうなんて。
この本、そんなに人気なの…?
おばあちゃんが昔与えてくれたもので、どこだとしても手に入らないレア商品だとは聞いたことがあった。
「…なるほど。これも眼鏡とおなじ構造ってことか」
「へ…?それ、使わないの…?」
「使わない。むしろ逆効果だよ」
「逆効果…?でも、何事も教科書がいるんじゃ…」
「僕の言葉が教科書。って、思わせてみせるから」