不滅のユースティティア。




今日もまた、夜遅くまで特訓していた。

すでにお城内の使用人たちも皆して寝静まっている時間帯。


美味しいご飯やお弁当を毎日快く用意してくれる使用人さんたちにだって、申し訳なさでいっぱいだった。



「ここ、僕の特等席なんだ」


「……きれい…」


「連れてきたのは江架が初めてかな」



大きなお城の、隠れた秘密スポット。

裏側にあるルーフバルコニーは、これまたバルコニーと説明することが勿体ないと思ってしまうくらいの広さ。


いくつか設置されているベンチ、いちばん風通しの良さそうなひとつにルス先輩は座った。


黄金色の光を放つ、真ん丸いお月様がよく見える。



「僕はね、小さな頃から異国の童話を読むのが好きでさ」



手すりに掴まって、背を向けた私に語りかけられる。


気分を変えようとしてくれてるんだろう。

それとも、ちがう方法で私の自信を取り戻そうとしてくれているのか。



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