不滅のユースティティア。




でもね、自信なんか最初から持ち合わせていなかったのが私だよ。



「いちばん好きな話は……竹から生まれた、月のように美しい女の子のお話」



どうせ月を見上げているのだろうその横顔のほうが美しいと。

こんな気持ちばかりだ、最近の私は。



「その女の子は本当は月の都にいたお姫さまだから…最後は月に帰っちゃうっていう、ちょっとだけ悲しい物語なんだ」



ほんのすこし、興味が湧いた。
話の内容が面白そうだった、というよりも。

幼い頃のルス先輩を単純に知りたかったから。



「いろいろ考察したよ僕。だって、納得なんかできなかったから」



くるっと振り返るよりも先に、彼が私のそばに立っていた。



「どうして月の都に帰らなくちゃいけなかったんだとか、逆に帰らなかったらどうなってたんだろう…とか。そもそもそのお姫さまは何者なんだろうって」



夜風に揺られる漆黒色の私の髪に指をとおして、「綺麗だ」と、つぶやく。



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