不滅のユースティティア。




「僕の父親はこんな城を建ててしまえるくらいの存在だからさ。女たちからの恨みを買った母さんは……魔法が使えないからって理由だけで、理不尽に殺された」


「───…え…」


「魔法は罪さえ正当化してしまえる。魔法は悪さえ、隠してしまえる。
僕はずっと、そんな正義なんかどこにもない魔法というものが大嫌いだったんだ」



魔法を使うことが当たり前な、この国は。

魔法を使えることが当たり前な、この国は。


“好き”であることが当たり前で、“嫌い”だなんて考えもしないくらい、もし考えてしまったなら異端児に見られるほど。



「江架は言ってたよね。魔法を使えるようになったら…“旅をしたい”って」


「…うん」


「それ、いいと思った。すごくいいなって」



やさしく戻された丸メガネ。

いつもの視界と、いつもの違和感と、いつものレンズ越し。


そんなものが、好きになれたような気がした。



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