不滅のユースティティア。
「ねえ、そのときは僕も一緒に行っていい?」
この人もまた、魔法士を目指しているわけじゃないんだと。
最初の発端はもしかすると、母親を殺した魔法使いたちに復讐するためとか、そういうものだったのかもしれない。
「僕と一緒に世界中を旅しようよ、江架」
ほんとうはね、逃げたかっただけ。
私のことを何も知らない人間たちがいる町に行って、いろんな人間たちがいる町へ行って。
そこなら軽蔑的な目も、差別的な扱いも受けなくて済むんじゃないかって、逃げることに期待していただけ。
「……私…、方向音痴、で…」
「ははっ、魔法が使えるなら問題ない。それこそ僕といたほうが安心だろう?」
「ね、寝相とかも…悪いから…、」
「んー、そうだな。じゃあ、ぜったい落ちないベッド作ってあげる」
ほんとうに行くつもりなんだ…。
子供のように無邪気に笑うルス先輩を前にすると、つられるみたく私も浮かべてしまった。