不滅のユースティティア。
バッと手のひらを向けてみても、念じながら想像を膨らませて力を送ってみても。
………びくともしない窓。
「じゃあ、壁に文字を書いてごらんなさい」
それも、できない。
私がやっているのは真似事で、ごっこ遊びで、子供でさえ簡単に使える魔法だというのに。
「はーっ、時間のムダ。明日から来なくていいわ、退学の準備はこちらで進めさせていただきます。…ほんと馬鹿みたいね」
最後はガクンっと、私の膝が落ちて終了を遂げた。
馬鹿みたいね───、
言葉の魔法が、どんなものよりも胸に刺さる。
「……江架、」
「……今まで、お世話に…なりました」
できない、私にはできなかった。
ただそれだけのことだ。
わかってたよ。
ずっとずっと、わかってた。
「待って江架、諦めるのはまだ早い。僕はひとつ……試してないことがある」
試してないこと……?
2メートル以内には近づかないこと。
理事長とのルールを破ってまでも、ルス先輩は私のもとへ動いた。