不滅のユースティティア。




バッと手のひらを向けてみても、念じながら想像を膨らませて力を送ってみても。

………びくともしない窓。



「じゃあ、壁に文字を書いてごらんなさい」



それも、できない。

私がやっているのは真似事で、ごっこ遊びで、子供でさえ簡単に使える魔法だというのに。



「はーっ、時間のムダ。明日から来なくていいわ、退学の準備はこちらで進めさせていただきます。…ほんと馬鹿みたいね」



最後はガクンっと、私の膝が落ちて終了を遂げた。


馬鹿みたいね───、

言葉の魔法が、どんなものよりも胸に刺さる。



「……江架、」


「……今まで、お世話に…なりました」



できない、私にはできなかった。

ただそれだけのことだ。

わかってたよ。
ずっとずっと、わかってた。



「待って江架、諦めるのはまだ早い。僕はひとつ……試してないことがある」



試してないこと……?


2メートル以内には近づかないこと。

理事長とのルールを破ってまでも、ルス先輩は私のもとへ動いた。



< 95 / 408 >

この作品をシェア

pagetop