ヒーローはキミだから
29.困ったときは、おたがいさま!
それからしばらくして。
あたしは、ふたたびバレー部に復帰することになった。悪いウワサも今ではすっかり落ち着いて。
バレー部の子たちも、ちゃんとあたしにあやまってくれたんだ。
「あの子のこと大丈夫? またなんか言われたら、教えてね」
って、露原先輩は心配してくれたけど。
「それが……あのあと珠莉、大空に告白したそうです」
そこで、大空から彼女がいるって聞かされて。
あたしがウソついてないってことが、イヤでも分かったみたい。
あれからちょっとおとなしくなっちゃった。
「へぇー。あの子、オレの言うことなんか聞く耳持たないと思ってたけど、ちょっと見直したな」
先輩が意外そうに目を丸くする。
先輩の気持ち、珠莉にもちゃんと伝わってたんだね。
珠莉にされたイジワルは、やっぱりすぐには許せないけど、大空のことが好きな気持ちはほんとうだったみたいだから、失恋の痛手、早く治るといいな。
「そんなわけで、先輩。放課後こうやって、図書室に来るのも今日が最後です」
あたしは、ペコリとおじぎをした。
そのあとすぐに、ニコッと顔を上げて。
「だけど、あたし、これからはずっと先輩のそばにいますから。先輩がつらいとき、困ったとき。そんなときはいつもとなりにいて、しっかり守ってみせます。なんてったって、あたしは、先輩にとってのヒーローですからね」
すると、先輩はちょっぴり赤くなって、
「ありがとう。オレも、いつもキミを笑顔にできるヒーローでいられるよう、これからもがんばるよ」
と、言ってくれた。
これからは正真正銘の「カレカノ」同士。
ひとりぼっちだと不安だけれど、ふたりでいれば、おたがいにずっとずっと強く、やさしくなれるよね。
あたしたちはギュッ! とあたたかい握手を交わすと、ニコッと笑って声を合わせた。
「困ったときは、おたがいさま!」
おわり
あたしは、ふたたびバレー部に復帰することになった。悪いウワサも今ではすっかり落ち着いて。
バレー部の子たちも、ちゃんとあたしにあやまってくれたんだ。
「あの子のこと大丈夫? またなんか言われたら、教えてね」
って、露原先輩は心配してくれたけど。
「それが……あのあと珠莉、大空に告白したそうです」
そこで、大空から彼女がいるって聞かされて。
あたしがウソついてないってことが、イヤでも分かったみたい。
あれからちょっとおとなしくなっちゃった。
「へぇー。あの子、オレの言うことなんか聞く耳持たないと思ってたけど、ちょっと見直したな」
先輩が意外そうに目を丸くする。
先輩の気持ち、珠莉にもちゃんと伝わってたんだね。
珠莉にされたイジワルは、やっぱりすぐには許せないけど、大空のことが好きな気持ちはほんとうだったみたいだから、失恋の痛手、早く治るといいな。
「そんなわけで、先輩。放課後こうやって、図書室に来るのも今日が最後です」
あたしは、ペコリとおじぎをした。
そのあとすぐに、ニコッと顔を上げて。
「だけど、あたし、これからはずっと先輩のそばにいますから。先輩がつらいとき、困ったとき。そんなときはいつもとなりにいて、しっかり守ってみせます。なんてったって、あたしは、先輩にとってのヒーローですからね」
すると、先輩はちょっぴり赤くなって、
「ありがとう。オレも、いつもキミを笑顔にできるヒーローでいられるよう、これからもがんばるよ」
と、言ってくれた。
これからは正真正銘の「カレカノ」同士。
ひとりぼっちだと不安だけれど、ふたりでいれば、おたがいにずっとずっと強く、やさしくなれるよね。
あたしたちはギュッ! とあたたかい握手を交わすと、ニコッと笑って声を合わせた。
「困ったときは、おたがいさま!」
おわり