ヒーローはキミだから

4.幸せの味

 ふうっ、ギリギリ間に合って無事に授業終了。
 くたびれたー。
 霧原先輩からもらった『ロゼ』のサンドクッキー、食べちゃおう。
 ひとくちかじったとたん、香ばしいおいしさが口に広がる。
 厚めで少しやわらかめのクッキーに、はさんである甘いコーヒークリームがよく合うんだ。
 うーん、やっぱり大好きな味!
 落ちこんでいた心に幸せが満ちていく。
 
 小学生のころ、通学路でちっちゃい子が友だちから『ロゼ』のクッキー投げすてられるイジメ受けてるの見たときは、めちゃくちゃ許せなかったなぁ。
 こんなにおいしいクッキーをゴミ扱いするなんて! って、怒り爆発したことがあったっけ。
 
 露原先輩もこのクッキー好きなのかな。
 わざわざあたしにひとつくれたりして。
――もし、困ったことがあったら、またここに来てよ。なにか力になれるかもしれないから。
 なんて言ってたけど……。
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