おばけなワタシとキラキラのきみ
「めちゃくちゃおもしろかったから、昨日最新話まで読んじゃったんだよね。早く続き読みたい」

「最初から読んだんですか?」
おそるおそる聞いてみる。

「うん。本当はちがう小説読むつもりだったんだけど、あっちの方がおもしろくて」
裏のなさそうな笑顔でそう言うと、先輩はわたしの小説のどこがどうおもしろかったのか、たのしそうに聞かせてくれた。

サイトでときどき感想をもらうことはあったけど、こんなふうに実際に読んだ人から感想を聞くことなんてなかったから、すっごく照れくさいけど……うれしい。

「あれってもうすぐ終わるよね?」
「は、はい……たぶんあと2ページくらいです」
「うわー早く読みてー」
「……あの……今から書きましょうか? 少し時間かかりますけど」
思わず提案してしまった。

結末までの構想はできてるし、今日はアユちゃんとの待ち合わせもしてないから時間にもよゆうがある。
あいさつのしめきりもまだ大丈夫だし。

「マジ!? やった!」

先輩があまりにも無邪気によろこぶから、おもわずクスッと笑っちゃった。

それから結末まで書きあげるのに、結局一時間くらいかかって、もう下校時間。

「ありがとう雨音先生! もうおそいから家で読む」
「あ、あの……」

よろこぶ先輩に、ちょっとだけ困る。
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