おばけなワタシとキラキラのきみ
「ん?」

「雨音先生は、ちょっと……先生なんかじゃないし、ナイショなので」

「ああそっか、そうだよね。雨音先生って名前なんていうの? ていうか何年? 雨音先生小さいね。身長何センチ?」
「え、えと」
いかにも運動部らしい矢つぎ早のハイスピードな質問にあわてる。

「あ、俺は三年の青沢宙(あおさわひろ)
「は、拝島空、二年です。145センチです……」

青沢先輩が右手をスッと差し出したから、わたしもつられて差し出して握手をした。

「よろしく、雨音先せ……じゃなかった。よろしく、空」

し、下の名前で呼びすて。さすが運動部。

「よろしくおねがいします。青沢先輩」
「宙でいいよ」
「……宙先輩」

何の〝よろしく〟なのかよくわからなかったけど、そのとき宙先輩と握手した手が、なんだかすごく力強くてあったかかった。
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