おばけなワタシとキラキラのきみ
「新作って書かないの? 雨音先生の新作、たのしみにしてるんだけど」
「い、今は……考え中です……すみません」

先輩がジッと見るからはずかしい。
ほんと、アユちゃんに負けないくらいきれい。

「なんで謝んの? 空のペースでゆっくり書いて」

わたしもつぎの小説、はやく書きたいって思ってるのに、めずらしく書きたいものが決まらない。

「……先輩の読みたいお話って、ありますか?」
わたしの質問に、先輩はしばらく「うーん」と考えた。

「この前も言ったけど、ファンタジーじゃないやつも読んでみたい」

言われた瞬間、アユちゃんの顔が浮かんで、少しユウウツになる。

「でもさ、空が書きたいものを書くのが一番だと思うよ」
「はい……」

たぶん先輩は、わたしの表情が暗くなったのに気づいたんだと思う。

ファンタジーじゃない、現実のお話……やっぱり無理だと思う。

「そういえば今日は雨だな」

思いつめたようにだまってしまったわたしに、先輩がこまったように軽くため息を交じらせて話題をかえた。
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