おばけなワタシとキラキラのきみ
「前は部活があったから、読書は雨の日しかしなかったんだ」

「雨の日は部活がお休みだったんですか?」
運動部のことが全然わからないわたしの質問。

「いや部活はあるんだけど、外でやるときよりも早めに終わるから、急いで帰って本読んでた」
「先輩ってほんとに読書が好きなんですね」

きっと、そのころの分まで今読んでるんだ。

「だから俺は雨の日ってけっこう好き」
いつものキラキラした笑顔。

「……わたしのペンネーム」

「雨音?」
コクっとうなずく。

「わたしは部活に入ってないから一年中、いつでも読書ができるんですけど、雨の日に雨つぶが屋根に当たったりする音を聞きながらする読書が好きで、それでつけたんです……」

先輩が〝雨の日が好き〟って言ったから、なんとなく言いたくなった。

「だからわたしも……雨の日が好きです」

わたしの言葉に、先輩はうれしそうに笑ってくれた。

わたしのまわりでは雨はいつも嫌われものだったから、こんな風に似た気持ちのひとに出会えてうれしい。


このひとが読みたいっていってくれるもの、書きたいな。

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