おばけなワタシとキラキラのきみ
***

六月に入るころには先輩はとっくにわたしの小説を全部読み終えていた。
今はわたしのおすすめの作品を読みながら、わたしの作品の2周目も読んでいるらしい。

「空ってこういうコンテストには出さないの?」
先輩が閲覧室のパソコン画面を見ながら言った。

わたしがいつも投稿している小説サイトのコンテストの作品募集のページだ。
今募集してるのは中学生でも応募できる短編小説のコンテスト。
賞をとれば小説家になれるかもしれない。

「応募してみたいなって思うけど、それ、ファンタジーのコンテストじゃないので」
先輩リクエストの新作はまだまだ考え中。

「そっか。空なら絶対入賞すると思うけどな」


もしも賞をとれても……アユちゃんがきっと許してくれない。

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