おばけなワタシとキラキラのきみ
「二年前、春の陽射しがあたたかな四月——」

先輩のあいさつはとても聞きやすく、本をたくさん読んでいるだけあって語感がきれいな文章だった。
手元の紙なんてぜんぜん見ないで前をまっすぐ見て話す。

「すごいね、青沢先輩。こういうのも得意なんだ」
まわりの女子がうわさしてる声が聞こえる。

「えー? こんなの誰か他の人が考えたんじゃないの?」

その言葉にドキッとする。

先輩は絶対に自分で考えたって抗議したいけど、わたしはそんなこと絶対に言えない。
心臓がズキッと痛む。

「あ、次アユだ。」

花束の贈呈が終わって、こんどはアユちゃんが演台に立った。

先輩は演台のよこに置かれたイスに、花束をかかえて座っている。

アユちゃんは、演台でひと息ついてから話しはじめた。
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