おばけなワタシとキラキラのきみ
「すこし……すっきりしました」
涙がとまっておちついたころに、先輩にはなしかけた。

「いままで誰にも言ったことがなかったから」
「ならもう」

「それはできません。わたしはずっとアユちゃんのゴーストライターでいないと」
わたしはうつむき気味に、小さく笑って言った。

「それでいいの?」
先輩は、少し責めるような声をしている。

「アユちゃんも、わたし……も納得してるし、誰にも迷惑はかけてないはずです」
「ぜんぜん納得してるように見えないけど」

「……だから、誰にもナイショで小説を書いてるんです。これだけはアユちゃんも知らない。小説があれば大丈夫なんです、わたしは」

先輩は小さくため息をついた。

「空がそれでいいなら、俺はこれ以上なにも言えないかな」
どこかがっかりしたような言い方。
そうだよね、こんなうそつき、きっと嫌われた。

「でも」

先輩がわたしの目を見た。

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