おばけなワタシとキラキラのきみ
***

先輩は、校内で会うと声をかけてくれる。

「おはよう」
「お、おはようございます」

閲覧室の外で見る先輩はいつもの宙先輩じゃなくて、みんなの〝青沢先輩〟って感じで、なんだかちがう人みたい。
ひと月前までは想像もしなかったけど、わたしは宙先輩の友だちになったんだ。

心がくすぐったいって感覚。

***

「本当にそうやって書いてるんだ」
閲覧室で作文の宿題をしてるわたしの手元を、いつもみたいに机をはさんで先輩がのぞきこむ。

もうかくす必要がないから【加地歩夢】ってはっきり書いてある原稿用紙を机のうえにひろげている。

紙で提出しなきゃいけない作文のときは、わたしが書いたものをアユちゃんが後から自分の字で書き写す。
だけど名前の欄には最初からアユちゃんの名前を入れておく。
そうしないとアユちゃんのための文章だって思えないから。
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