おばけなワタシとキラキラのきみ
「おはよう」
朝、階段で会った先輩があいさつしてくれる。

わたしはキョロキョロまわりを見て、小さくおじぎをして、足早に教室に行く。

アユちゃんに宙先輩とのことを聞かれたあの日から、そうすることに決めた。
わたしは〝目立たない拝島空〟でいなきゃいけない。

その日はまた、飲み物を買いに休み時間に自動販売機にいった。

「あ、空」
今日は先輩が先に買ってる。

「俺もほうじ茶ラテにハマって——」
先輩が笑顔で話しかけてくる。

「あ……えっと……」

『空って青沢先輩と仲いいの?』
アユちゃんの目が頭にうかぶ。

わたしはペコッと頭をさげて、くるっと後ろを向いて立ち去ろうとした。

「ちょっと待った」

先輩がわたしの手首をつかんで引きとめた。
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