おばけなワタシとキラキラのきみ
「わたしが、キラキラ?」

先輩がうなずく。

「文才があって、何十作も小説を書き上げてて、好きな作品を教えてくれたり、雨が好きだって教えてくれたりしたときの笑顔もかわいいと思った」

先輩がこんなふうに言ってくれるなんて、びっくり。

「あ、ありがとうございます。小動物的なやつでもうれしいです」
「ちがうよ」

「え?」
ちがう? なにが?

「俺には、加地さんなんかより空のほうがよっぽどきれいでかわいく見える」

そう言って、先輩はわたしの長い前髪にふれて、指で少し上げた。

「空はもっと、自分に自信を持ったほうがいい。顔だってこんなふうにかくさないでさ」

心臓がドキドキしてる。
顔が赤くなってるんじゃないかなってくらい熱い。

「空は、俺が知ってる女の子……いや、俺が知ってるひとの中で一番すごいよ」
先輩はずっとわたしの目を見てる。

はじめてのことに、何をどう、言葉にすればいいかわからない。

沈黙をやぶるみたいに〝キーンコーン……〟てチャイムがなった。

「……あ、あの! わたしもう帰らないと」
そう言うと、先輩は前髪を下ろしてくれた。
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