おばけなワタシとキラキラのきみ
『それって、楽しいの?』

クッションに顔をうずめながら、また先輩の言葉を思い出す。

学校は毎日毎日、目立たずにやりすごすところ。
苦しくなければ、楽しくなくたっていいはずの場所。

だけど先輩と知り合って、小説の話ができるようになってからは楽しかったな。

本当の自分を見てもらえてる感じがして。

わたしが書いたものを、わたしが書いたって知ってるひとが読んでくれて。

『空がつむいだ言葉は空のものだよ』


小学四年生の読書感想文は、本当にアユちゃんが大きな賞をとった。
アユちゃんの家でアユちゃんの名前の賞状を見たときは『うれしいね』って笑ったけど、家に帰ってから一人で涙がかれそうなくらい泣いた。
自分の文がとられてくやしくて、アユちゃんがこわくて、何も言えなかった自分がなさけなくて。

ほんとは、あの日から一度も納得なんてしてない。

『俺には空のほうがキラキラして見える』

先輩はああ言ってくれたけど……今の自分がキラキラしてるなんて思えないから、ちゃんとかがやきたい。

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