おばけなワタシとキラキラのきみ
今日は少し、気が重いことがある。

「それ、読書感想文?」
「はい」

二人分の名前が書かれた原稿用紙をひろげる。
手元には感想用の本も二冊。

「今回だけ書いて、ぜったい最後にします」

これを書いて提出するころには、コンテストの結果が出る。
入賞すればもうこんなことはやめるから、これで最後になるって信じてる。

アユちゃんとは、コンテスト用の作品を書いてるあいだも、応募してからも、ずっとふつうにしてきた。
作文だって生徒会長用のスピーチ文だって、たのまれればひきうけた。

だけど、宙先輩のお話を書いてから、あんなにキラキラして見えていたアユちゃんの笑顔が暗い影をかぶったみたいにモヤモヤして見えるようになった。

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