おばけなワタシとキラキラのきみ
「ありがとうございま〜す」
アユちゃんがうれしそうに言った。

「それでな、せっかくだから今日の始業式でお前たちを特別表彰しようと思う」

特別表彰っていうのはうちの学校の制度で、〝特別にがんばった生徒〟や〝特別にかつやくした生徒〟を学校が表彰する。

「いや〜加地には前から文才があると思ってたけど、小説も書けるなんてすごいな」
「ふふっそれほどでも」

なにこれ? なんで?

「じゃ、失礼しまーす」
わたしはほとんど言葉を発することなく職員室から出た。

「どういうこと? わたし、ことわったよね?」
あの日、わたしはアユちゃんに無視される覚悟でことわった。

「うん。そうだったね。そんな権利ないのに」
「は? 権利?」

「空にことわる権利なんてないよ」
アユちゃんが笑う。
暗やみにひきずりこむみたいなこわい顔。

「たのしみだね、みんなの前で表彰されるの」
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