おばけなワタシとキラキラのきみ
「え? 空?」

アユちゃんはおどろいた表情でこっちを見た。

「あの作品は、わたしが……わたしが先輩にもらったうれしい気持ちを書いたの!!」

マイクごしだけど、人生で一番大きな声を出したかもしれない。

「先輩のキラキラしたところを書いたの! それを削除するなんて、モデルを変えるなんて、ぜったいさせない!」

あの小説は、先輩じゃなくちゃ意味がない。

「読書感想文だって演説だってスピーチだって、くやしかったけど、どうでもよかったからアユちゃんにあげたんだよ。だけど、今回の作品はダメ。アユちゃんのお願いだからってぜったい聞かない! あの小説はわたしのものだし、雨音はわたしなの! アユちゃんじゃない!」

こうふんして、頭が真っ白になっていたと思う。
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